ダーカーザンブラック


主人公:S。二児の母で専業主婦。家事業の傍らにドラクエ10をプレイしている。

※当記事はフィクションであり、実際の人物・ブログ等とは一切関係がありません。上の写真は当方のフレンドであるプクリポのマルス氏ですが、内容とは一切関係ありません。



(コンコン)

「どうぞ」

「し、失礼します…」

「どうもはじめまして。私が『かくすけ』です。Sさん、でしたかね。お話は伺っておりますよ(ニッコリ)」

「は、ハイ!あの、私…」

「ハハ、まあそんなに緊張なさらず…とりあえずそこにお掛け下さい」

「あ、ありがとうございます」

「それでSさん。あなたはこの度、ドラクエブログを始めたいということですが…」

「はい、そうなんです。今ドラクエブログってブームじゃないですか!ホラ、元手も掛からないですし。それだったら私もブログ、やってみようかなー、なんて。手軽に、気楽に、私の日々のことなんかを伝えることができたらなあ、って…」

「ほう、手軽に…」

「ええ、ドラクエブログを書いてる人って、結構コアな人が多いというか、玄人寄りのものばかりな気がするんです。私はライトプレイヤーですけど、だからこそ、そんな私の視点で思ったことを色んな人に届けてみたいんです」

「なるほどなるほど。それは結構なことだ…」

「はい!ありがとうございます!それで、ページのレイアウトなんですけどね、まずトップページに…」

「いえ、結構です。大体のことは分かりましたから」

「あっ、はい…」(エーッ!ここからが本題だったのに!)

「さてSさん、とりあえずあなたがドラクエブログを書きたいという旨は分かりました。そしてそのコンセプトも理解できました。結構なことと思います。確かにコアゲーマーばかりのドラクエブログ界に於いて、ライトプレイヤー視点でのプレイ日記という着眼点は間違っていない。けれど」

「…けれど?」

「あなた、どうやってアクセスを集めるおつもりですか?」

「そ、それは、地道に毎日記事を書いていって、それで…」

「毎日、ねえ」

「それだけじゃなくって…あ、あと!そう、ランキングとかにも登録したりして、そこで訪問者を集めていって、うん、そういう風に考えています!」

「フム…。ランキングに登録した上で、毎日こまめに更新する。あなたはそういう風にしてアクセスを稼いでいきたい、そのように思っていると。そういうことですね?」

「え、ええ。まあ、そういうことになりますか」

「おかしいとは思いませんか」

「え?」

「あなたは最初に『ライトプレイヤー目線の手軽な気楽なプレイ日記を』と仰った。それなのにどうして、そのようにしてアクセスを稼ぐためのメソッドをあれこれ頭に思い浮かべているのです?」

「そ、それはあなたが!あなたが私に聞いたからであって」

「まあ確かに誘導した部分はありましょう。そこは認めます。けれどね、私が少しばかし水を向けただけで、そうやってポンポンとアクセスアップの手段を口にすることができたのは、やはり従前からアクセスに関してあれこれ思いを巡らせていたから…という風にも考えられますよね?」

「それは…!」

「いえ、何も私はアクセスを欲することを咎めているわけではありません。人間誰しも、アクセスは欲しいですものねえ」

「違います!私はアクセスなんて欲しくありません!ただ、日々思ったことを、ちょっとだけブログで書きたくって、それで…」

「ほう、それだったら世の中には日記帳というものがあるじゃないですか。そちらに書けばよろしい。そうじゃないですか?」

「…」

「結局ね、ネットの世界で何かを書く、あるいは書きたい、そんなことを思った人間というのは、全体自己顕示欲の塊なんですよ。そうじゃなければブログなんて始めませんものねえ。元々がそんな人間です、そういう人がそもそも『アクセスなんて欲しくありません!』という方がおかしいんじゃないですか?」

「それは極論です!世の中には、たとえ多くの人に見られなくとも、ごく限られた『分かってくれる』人にだけブログを見られることで満足を得ることのできる人もいるはずです!そういう人にとっては、アクセスなんて邪魔でしかないはずですよ!」

「分かってくれる人、ねえ…」

「そうですよ!私だって、無差別にアクセスが欲しいわけじゃあ…」

「ではその『分かってくれる』人、というのは、いつ、どこからやって来るのですか?」

「え…?」

「顔の見えないネットの世界で、どうやって訪れた人が『分かってくれる』人だなんて判別するのですか?」

「そ、それは、ゲームのフレンドとかと、少しずつ信頼関係を築いていって、その中で…」

「それはブレてるなあ」

「ブレ、てる?」

「あなたの言っていること、それがもし本音だとしても…それをどうしてブログでする必要があるのですか?あなたが伝えたいこと、教えたいことがあるとして、それを『分かってくれる』人にだけ伝えたい、相手が本当に分かってくれてるかどうかは自分で確かめたい…そんなことをもし本気で仰っているのなら」

「…」

「公式サービスの冒険者の広場───そこにある日誌で十分に足りることなんじゃないですか。違いますか?」

「それは詭弁です!」

「何故です?分かってくれる一部の人に見てもらえればそれで良い訳でしょう?」

「そ、それはそうですけど、フレンドだけじゃなくて、まだあったことのないプレイヤー、もっと言えばドラクエをプレイしてない人とだって『楽しさ』を共有したい、そう思うことだって、あるかもしれないじゃないですか!」

「だから、それが自己顕示欲なんでしょう」

「違います!情報発信です!」

「ハハ、モノは言い様ですね。でも、情報を発信したのだったら、それこそ沢山の人に見てもらって、受け手に取捨選択の自由を与えるべきだ、と私などは思いますけどね。それに、分かってくれる人を求める気持ちは尊いですが、そもそも1日0アクセスしか人が来ないブログにあっては『分かってくれる人』もクソもないでしょう。どんな人であれとりあえず来てもらう、記事を見てもらう、そして判断してもらう…全ては、そこから始まるんじゃないんですか?」

(何よ……何が言いたいのよ……)

「そこにあって

『アクセスはいらない、けど分かってもらえる人にだけ分かって欲しい』

などと言うのであれば、じゃああなたは貝のように耳を閉じて、自分の言いたいことだけを叫び続ける行為を繰り返すことになるんじゃないですか?違いますか?」

「極論です!それは」

「極論で結構。しかし私の言っていることが極論であるとしても、それを『極論だ』と指摘することは決して反論足り得ない。そうですよね?あなたは何らの反証を行っていないのだから」

「そんなこと言われても…別に私は安易にブログで日記を書ければと思って、それで…」

「黙りゃ!!」

「っ!」

「いいですか、結局アクセスなんですよ、全ては!アクセス数を捨象したままでドラクエブログを語ることなど傲慢千万なんです!あなただって自分の書くこと、発信することを沢山の人に見られたいんでしょう?そうに決まってます。でないと公衆面前の代名詞たるインターネットで何かを書こうなどと思うハズもないですものねえ 」

「…そう、かも…しれません」

「うんうん。稀に『アクセスなんていりません』などと抜かす輩がおりますが、ああいうのは全部嘘です。まやかしです。『アクセスを欲しがらない自分』という高潔な虚像を打ち立てることによって、訪問者に媚を売っている形ですな。究極的にアクセスが要らないのであれば即座に閉鎖すれば宜しいのですからねえ。私などはそう思いますが」

「…そう、かも…しれません」

「よろしい。そこでアクセスアップの方法ですが、あなたは先ほど『毎日更新する』『ランキングに登録する』など仰っておりましたが、はっきり言って無駄ですよ。そんなものは。そんなことをしてもせいぜい十や百、よくて千程度アクセスが上がるだけですって」

「で、でも!じゃあランキングとかの上位にいる人たちは、一体どうやってアクセスをあんなに上げてるんですか?!」

「ええ、勿論誰にでも『初めて』はあります。そこに例外はない。だからこそ誰もが

いつしか私も『屍ブログ』クラスには成れるかも…

などと思い、ブログを立ち上げるわけですしね。けどね、ああいうのは結局極一部なんですよ。あなた、ちゃんと見てますか?ランキング上位に位置するブログの下には、幾億千のブログがひしめいている現実を」

「いや、それは……」

「確かにねえ、ランキング上位陣、彼らを見てれば野望を抱く気持ちも生じましょう。え、こんな、公式情報コピペ記事を書いているだけで、こんなにもアクセスがあるの?じゃあ私も!ってね。所詮アマチュア、私自身も様々なブログがその内容において大きな差異があるとは思いませんよ。環境は完全に飽和してますしね。

しかし、成功するブログは大抵『何か』があるんですよ。何かが」

「何か?」

「そう。文章力、企画力、構成力、速報性、検証力、おっぱい、馴れ合い、過剰な宣伝、…素因は様々あるでしょう。とりわけ強いのはおっぱいと馴れ合いでしょうか。おっぱいの訴求力は相当なモノがありますからねえ」

「でも、おっぱいって、何ですか?!」

「簡単ですよ。己のブログでおっぱい写真をアップする。それだけですよ」

「そ、そんなこと!」

「選択肢の話です。やれ、と言っているわけじゃない。まあ文章力や企画力といったものは一朝一夕で手に入るものじゃなく、速報性や検証力もライトを謳っている貴女には難しい。一番手っ取り早いのは『馴れ合い』でしょうかね。仮にここにAとB、二つのブログがあるとして、それぞれ200ずつの固定客を持っているとする。それぞれが独立に運営している場合は、やはり200ずつの客しか擁することができない」

「…」

「けれど、お互いが相提携することができれば?そうすればあっという間に客は400になります。…まあ、実際の数字はもっと複雑ですがね」

「じゃあ私もそうします。馴れ合います。そうすればいいんでしょう?」

「でもね、『こと』はそう単純じゃないんですよ。まず、あなたが馴れ合いたいと思っても、相手がそう思うとは限らないですよね。それに世の中には悪い人がいましてね。一方的に自分の方にだけリンクを貼っておいてもらいながら、結局自分の方からは一切リンクを貼らない、貼ったとしてもページのレイアウトを気にしてごく分かりにくい方法で貼る…というやり方をする人がいるんですよ。それに、馴れ合いに執心しているうちに、肝心の自ブログの更新内容がぞんざいになってしまう、そしていつしか固定客すらも離れていってしまう…というのは、存外ありふれた話です」

「だったら、一体どうしたら!」

「大手ブログからのリンクですよ」

「おお、て…!」

「そう、1日10万HITほどもある大手ブログからリンクを貼ってもらいなさい!それも文中でのリンク!それだけで、一気に1万アクセスは稼げるのです」

「い、いちまん…!」

「何の苦労も要せず、一気に1万…どうです、これは愉悦でしょう?魅力でしょう?結局、この世界でのし上がろうと思うのであれば、大手からのおこぼれを預からずしてはのし上がることができないんですよ。いいですか、アクセス、それは力です。閲覧者にしても、その多くはアクセス数を見ているものです。

『ああ、このブログは、これくらいのアクセスがあるからクオリティ、信憑性が高いんだろうな……』

そう思う心理、これはないとは言わせませんよ?」

「ああ…あああ…」

「そしてアクセスが集まれば、一見さんもカウンターを閲した時に

『おや?このブログ、一見何も大したことを書いてないようだけれど、こんなにアクセスがあるのだったら面白いのかも……』

と錯覚し、いつしか固定客になる、そういう現象は確かに存在するんですよ。鶏と卵、どちらが先か?どちらでも良いのです、そんなものは。記事の質、内容の良し悪しなんてのは瑣末な問題ですよ」

「そんな!」

「本当にそうなんです。世間に書店がいくらあると思ってるんです?本当に楽しいものを求めるのであれば、人間、いくらでも金を出してプロの作品、情報に群がりますよ。そんなもんです。だからこそ目に見えるアクセス、これが強いんじゃないんですか」

「ウッ、ウッ…じゃあ、私はどうすれば…」

「委ねなさい」

「えっ?」

カタ、と音を立ててテーブルの上に落とされたそれはホテルのカードキー。

「私のブログ『ましかく堂』のアクセス数は1日100万です」

「ひゃ、ひゃく…」

「今回、特別に『あなたのサイトだけ』文中でリンクを貼ってあげましょう。そうすれば初日からアクセス10万も夢じゃない。オイシイ話でしょう?」

「…」

「ただ、その代わり」

「…分かってます。私も、この世界に入った時から覚悟はできていました。さあ、行きましょう、かくすけさん」

その言葉にかくすけはニヤリと口角を吊り上げた。しかしそれも一瞬のことで、再び鷹揚な笑顔を取り戻すと、では、と呟きSさんに退席を促す。ごく自然な動作で、彼女の臀部を愛撫しながら───。





…アウトかな?

おわり。
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セーフです。
by私規定

ペケさんのある一面が垣間見れるような、キツーイブラックユーモアでした。堪能させていただきました。

セーフだな

セーフですw

▼とむさん

イエア!1ポイント点!

> セーフです。
> by私規定

▼しろべぇさん

今後も前のめりな記事を書いていきたいです!

> ペケさんのある一面が垣間見れるような、キツーイブラックユーモアでした。堪能させていただきました。

▼ののさん

イエア!2ポイント点!

> セーフだな

▼リルジ~さん

イエア!3ポイント点!

> セーフですw
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